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熟成鮨と日本酒、進化し続ける食文化による珠玉のコラボレーション
- 江戸前鮓 すし通 -

熟成鮨と日本酒、進化し続ける食文化による珠玉のコラボレーション<br> - 江戸前鮓 すし通 -

熟成鮨と日本酒。共通項は、日本古来の技術と現代的なアイデアとを融合させながら進化し続けていること。そんな豊かな食文化である両者を、独自の哲学で見つめた手仕事やプレゼンテーションで表現する店があります。

六本木通りの路地裏に佇む『江戸前鮓 すし通』。伝統的な江戸前鮨を守りながら、それぞれのネタに合わせた熟成を施す丁寧な仕事で、多くの食通の舌を唸らせる名店です。専任ソムリエによる、赤ワインをはじめ酒類の縦横無尽なペアリングも魅力の同店。この珠玉の空間では、MINAKI『極幻』や『珀彗』など、こだわり抜いて造られた最上級の日本酒の個性も、より一層際立ちます。

・プロフィール
江戸前鮓 すし通 大将・田中幸一 氏
1975年生まれ。仙台出身。銀座で30年以上続く老舗の鮨店「鮨処おざわ」で20年以上勤務し、職人としての技を磨く。昨年の8月より現職にて大将を務め、手間を惜しまない職人の感覚でしか作ることができない芸術的な“熟成鮨”を握る。

江戸前鮓 すし通 ソムリエ・亀澤広義 氏
1986年生まれ。ホテルオークラや星付きのフレンチにてソムリエを務めた後、日本料理の名店にてワインだけでなく日本酒のペアリングも極め、2023年1月より現職。

熟成とは、流行的な一ジャンルではない

「熟成とは調理法であると同時に、冷蔵庫がない時代から続く保存方法でもあります。食材の品質を保つために、塩を利かせたり、昆布締めをしたりするのも熟成の一種であり、非常に長い歴史を持つものです」

そう教えてくれたのは、江戸前鮓 すし通(以下、すし通)で大将を務める田中幸一さんです。最近、食の世界でよく耳にする熟成。科学的には、肉や魚自体が持つ酵素の働きによって、タンパク質が分解され、アミノ酸が増す状態を指します。

また、熟成の調理法としての強みは、時間をおいて寝かせることで食材から水分が飛び、本来の甘さや旨みがぐっと引き出されること。近年、「鮮度が命」という傾向が強かった鮨の世界で、「熟成鮨」というスタイルが存在感を増しています。

ただし、熟成鮨は、流行的なジャンルではないと田中さんは語ります。なぜなら、特に熟成鮨と名乗らずとも、ネタに熟成を施す鮨店は、常に存在したからです。その歴史の流れの中で今、熟成鮨と向き合うのであれば、昔ながらの熟成という調理法に原点回帰しつつ、進化させたいと語ります。

「昔と比べ、流通が良くなったり、港での魚の処理の仕方が進化したりと、鮮度のいいネタを仕入れられる環境が整ってきました。恵まれた仕入れ環境を生かしながら、さらに伝統的な魚の熟成技術を加えることで、より豊かな美味しさを追求しているのが、現在の熟成鮨のあり様ではないでしょうか」

熟成させた魚は、淡白な白身でさえも独特な粘り気が生まれ、ねっとりと舌に絡みつく食感になります。旨みと甘みが次々と後を追い、コク深い味わいを堪能することもできるのが熟成鮨の魅力なのです。

多様な美味しさのレイヤーを持つ熟成鮨。日本酒の伝統に向き合いながら、原料と醸造にこだわり抜き、複雑でありながらすっきりとした洗練された味わいを完成させた『極幻』をはじめとするMINAKIの日本酒とは、どこか通じるものがありそうです。

温度、水分量、塩の量…「熟成」を数値で徹底管理

複雑な味わいを表現できる熟成鮨。といっても、寝かせておけば熟成が進むわけではなく、それぞれの魚の特性を熟知していないと、せっかくのネタを台無しにしてしまう可能性もあります。

鮨としての完成度を追求し、ネタに合わせてシャリや提供温度を変化させるすし通。熟成の処理に関しても、魚ごとに繊細に変えています。どこまでも“素材ありき”が、同店の特徴です。

「光り物はあまり寝かせず、新鮮さを立たせることを重視しています。一方、クエやハタなどの大きな魚は寝かした方が味は出ます。マダイやスズキといった中型の魚は、3、4日の短いスパンで寝かせますね。マグロは魚体の大きさにもよりますが、うちでは1週間をピークに寝かせて使っています」

すべての魚に関して個別の管理を施しているそうですが、熟成自体にも並々ならぬこだわりがあります。

「熟成する際の温度や、飛んだ水分量、塩を打つ量も、グラム単位で表で管理しています。きっと昔の鮨屋さんは、これらの作業を職人的な感覚でやっていた部分も大きかったでしょう。師匠を見て学ぶ姿勢は大事ですが、若い職人たちに熟成技術をしっかり継承していくために、数値化など科学的なアプローチも大切にしています」

まさに、昔ながらの熟成という調理法を、現代流にアップデートさせているすし通。その丁寧な仕事ぶりは、一貫目に提供されるマグロにも体現されています。口に入れた瞬間、シャリとマグロがとろけるようなイメージを実現するため、マグロには少なくとも50〜60回の隠し包丁を入れているのだそうです。

田中さんに、すし通の大将としてのこだわりをお聞きしました。

「一貫目に名刺代わりのマグロをお出しした後、コハダ、イカ、縞アジ、アジ、ボタンエビなど、徐々に濃い風味へと移る構成になっています。味わいに強弱をつけることを大切にしていて、それはこの店がお酒とのペアリングにも注力する鮨屋だからです。

私自身お酒をいただくため、鮨とお酒の相性について考えることが好きです。ノドグロやトロの脂の甘み、そして醤油の酸に赤ワインが合うことが分かったのは、この店に来てからの発見でした。

日本酒はまさしく鮨に合うお酒ですが、中でも『極幻』はお客様から評判がいいですよ。白身はもちろん、後半にお出ししているボタンエビにもよく合います。エビのまろやかで芳醇な味わいをスッキリ切ってくれる感じが絶妙です」

特別な時間に寄り添う『極幻』と『珀彗』

大将の田中さんが言うように、お酒の取り扱いも豊富なすし通。リストにないものも含めると、日本酒やワインもボトルで百単位以上と、鮨店を大きく超えるラインナップです。同店を訪れるゲストは、その日の食材に最適なボトルやお料理ごとにグラスのペアリングの提案を受けることができます。

そして、酒類提供の一切を担当するのがソムリエ・亀澤広義さんです。

「すし通でご提案するペアリングの大きな特徴としては、日本酒と、ワインの中でも特に赤ワインを半分ずつの割合で提供していることです。魚ごとに熟成を施し味わいに強弱を付けているため、酒類の中でも抑揚が強い個性を持つ赤ワインとの相性がいいんですね。

また、鮨と日本酒は間違いないペアリングですが、さっぱりとした味わいの鮨だと日本酒の風味が勝ってしまうことがあります。一方、ネタを熟成させることで旨みを増した鮨には、合わせられる日本酒の幅が広がるため、この店では様々な銘柄をお取り扱いしています」

幅広い品揃えの中でもMINAKIブランドの日本酒は、特別な時間に、最高級の食体験を求めるお客様にご提案しているのだそう。先日は、海外からお越しのお客様に『極幻』を提供したところ、「こんな美味しい酒を飲んだことない」と驚き、喜ばれていたと話します。

「ソムリエとしては、酒の造り手や鮨を握る職人の想いを尊重しながらも、お客様の立場に寄り添うご提案をすることを心がけています。たとえば、日本酒の造り手がお米の味わいをしっかり感じてほしいために、少し高めの12度位での提供を推奨することがあります。

料理との相性だけを考えたらそれ位の温度帯がちょうどいい場合もあるのですが、飲み手にしたら、少し冷やし目で飲みたいというニーズもあるものです。そのお気持ちを汲んで、日本酒は7度位でお出しすることも多いですね」

ソムリエとしてのプロの知見と同様に、いち飲み手としての感覚も大切にしているという亀澤さん。ちなみに、鮨店で1杯目に飲むお酒はどのように考えたらいいのでしょうか?

「日本の方は、やはり最初にシュワっとしたものを飲みたい気持ちが強いのではないでしょうか。その意味で、やはりビールは手頃なお値段のため、魅力的な選択肢になるかと思います。また、これまでスパークリング日本酒は納得いくものを見つけられていなかったのですが、MINAKIの『珀彗』はシャンパンにも負けない味わい。特別な1杯目としておすすめです」

熟成鮨と日本酒、ソムリエおすすめのペアリングは?

お客様一人ひとりの好みに寄り添ったぺアリングを大切にする亀澤さん。熟成鮨に合わせる日本酒の総論的な考え方についてコメントをいただきました。

さっぱりとした白身のお寿司:ほどよくお米の甘みとうまみを感じられる、濃すぎない純米酒系

青魚や光り物のお寿司:光り物特有のくさみを抑えるため、少し香りのある吟醸系。個人的にはアルコール添加をしていない純米吟醸がおすすめ

マグロなど赤身のお寿司:たとえばマグロは、赤身、中トロ、大トロで脂が乗ってくるため、日本酒もそれに合わせて

サーモンなどの脂身が多いお寿司や、エビを使った洋風の寿司:スパークリング日本酒がおすすめ

タレを使ったお寿司:3年ほど寝かした日本酒だと、コクのあるお寿司の味わいにも負けず寄り添う

最後に、2022年2月の『極幻』の誕生を皮切りにブランドが誕生して一年を超えたMINAKIブランドへのメッセージをいただきました。

「熟成鮨はやはり熟成させた酒がよく合いますから、これから熟成させた極幻とのペアリングが楽しみですね。新しい『極幻FORMULA.2』は精米歩合が29%とお聞きしています。『極幻』と比べて甘みや風味がしっかり目でしょうから、また新たな熟成鮨とのペアリングをご提案していけたらと思います」

熟成という調理法を洗練させながら、芸術的な鮨の美味しさを追求するすし通と、酒造りの基本をこだわり抜くことはもちろん、新しい日本酒体験を届けるべく“ラグジュアリー日本酒”という分野を切り拓くMINAKI。両者の珠玉のコラボレーションを一度体験してみてはいかがでしょうか。

 

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・江戸前鮓 すし通
住所:東京都港区西麻布3-1-15 RFビルB1F
Webサイトはこちら

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