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精進の果てに辿り着く高級日本酒の頂点 —『極幻シリーズ』

精進の果てに辿り着く高級日本酒の頂点 —『極幻シリーズ』

深みあるビターな薫香が通り過ぎたと思えば、林檎や洋梨のようなほのかな香りが鼻の奥をくすぐり、飲み口は穏やか—。ひとくち飲めば、身体中に幸福感がいっぱいに広がるMINAKIの『極幻|GOKUGEN』は、まさに“究極の日本酒”を表現した一本です。さらに2023年3月には、極幻シリーズに相応しい上品さと存在感を兼ね備えた『極幻FORMULA.2』も発売され、早くも世界的な評価を築いています。

そんな前途を祝福された“極幻シリーズ”は、いかにして誕生したのか。そこには“理想の味とスタイル”を徹底的に追求するため、ときに非効率的であったとしても、一切妥協せずこだわり抜くブランドとしての確かな意思がありました。今回は、醸造パートナーである「奥羽自慢」の杜氏である阿部さんのお話を交えながら、極幻、極幻FORMULA.2をより楽しんでいただくために、開発ストーリーをお届けします。

・醸造パートナー:奥羽自慢
1724(享保9)年創業の山形県鶴岡市にある酒蔵。現在では日本酒「吾有事」「奥羽自慢」、日本ワイン「HOCCA」を手掛ける。

MINAKIがお届けする、究極の“山形テロワール”

“極幻シリーズ”の醸造パートナーである奥羽自慢は、若手の造り手たちによるたゆまぬ挑戦により、伝統と革新を共存させた山形県鶴岡市の酒蔵です。1724年の創業以来、300年にもなる歴史と豊かな自然の中で、1本1本丁寧な日本酒造りを続けています。

MINAKIとのパートナーシップが始まったのは2021年、ブランドのフラッグシップ日本酒である極幻の誕生にさかのぼります。MINAKIの創業者には最初から“目指す味わい”が明確にありました。それは「まず華やかさがあり、甘さと酸のバランスがよく、単体でも食中酒としても美味しく楽しめる、エレガントな味わい」というイメージ。日本全国の日本酒を味わい歩きながら、その想いに通じる方向性の日本酒の造り手を探し求めました。

そうして出会ったのが、2017年に当時26歳で奥羽自慢の杜氏に抜擢された阿部龍弥さんです。極幻が目指した“精米歩合17%”が必要とする、200時間以上かけて磨き上げた極めて小さな白米を醸すための技術力はもちろん、新たな挑戦を重ねながら酒造りの改革を推進する姿勢にシンパシーを感じて協働をオファーしました。

そんな奥羽自慢とMINAKIの酒造りを語る上で欠かせないのが、「山形」という土地の恵みです。冬季に大量の雪を抱き、清らかな水に恵まれた山々に囲まれる山形県。奥羽自慢では、この地に蓄えられた超軟水の天然の井戸水を、仕込み水として使っています。また、日本酒造りに適した長期低温発酵が可能な冬の寒さの中で、地元で丁寧に育てられた質の良い酒米を厳選して使用しています。

そして、これらの地元素材を最大限に引き出す確かな腕をもつ造り手たち—。これらの自然、気候風土、人と技術が渾然と溶け合うことで生まれる極上の日本酒。山形の「テロワール」を豊かに感じていただけるのが“極幻シリーズ”なのです。

最大のこだわりは「甘みと酸味のバランス」

レシピ開発を行う段階から、何度も話し合いを重ねたMINAKIの開発チーム。味わいにおける最たるこだわりは、「甘みと酸味のバランス」だったと言います。最初は、酸味をそこまで出さない方向性についても話し合われましたが、試作の味を確かめる中で、やはり少し酸味があった方が良いという判断になったと言います。

そうして最終的に目指したのは、透明感と雑味のない綺麗な口当たりの中に、洗練された甘みと、良質な酸味やキレを心地よく感じられるような酒質。「言うは易し」ですが、そのバランス感を実現するためには、酒造り工程における丁寧な管理と造り手の経験に基づく繊細な調整が必要となります。

それに対して、情熱を携えた若き杜氏・阿部さんは頼もしい態度でした。
「甘みだけでなく酸味も表現する方向性は、私たちの酒造りにもすごくマッチしていると手応えを感じました。蔵のこだわりとして、酸を基軸に味わいを設計していく中で細かい酸の調整、管理を行うことで、他にはない究極のバランスの日本酒を実現する道筋を描きました。

酒造りについて大きな鍵を握るのは、“甘み”は「麹が出す糖化酵素の量」、“酸味”は「酵母の種類や発酵の進め方」になります。また、奥羽自慢の酒造りの特徴として、酸を基軸に味わいの設計をするため、酵母の活動を前半に多くなるように設定することで、軸になる酸を調整しています。

一方、甘みに関しては酒米の性質によっても出方が変わってきます。山田錦で造る『極幻』と雪女神(山形県初の大吟醸向けの品種)で造る『極幻FORMULA.2』では、糖化酵素を受けやすいお米かどうかで、取り扱い方が変わってきます。それに対して酒蔵では、米の性質として極幻の方が少し甘みが強くなる傾向があるため、温度経過を高くすることで調整しています。

『極幻』と『極幻FORMULA.2』、それぞれ個別の性質において、“極幻シリーズ”の持ち味の「甘みと酸味のバランス」を実現することに、絶え間ない工夫が施されているのです。

月山から流れる、超軟水の井戸水を全工程に使用

酒質に大きく影響する「水」。山形県内は超軟水と呼ばれる、硬度約30mg/Lの軟らかな水が特徴です(日本の水の硬度は平均約50mg/L)。清らかな水を恵む山々に囲まれた地域で、全工程において天然の井戸水を使用し、仕込みを行っています。

水を扱う作業の中でも特に「洗米」という米を洗う工程において、しっかりと糠(ぬか)を洗い流す「糠切れ」に重点を置いています。また、大量の単位を扱う掛米であっても機械を使わず10kgずつ計り、限定吸水と呼ばれる手作業で、時間も測りながら丁寧に吸水させています。

“極幻シリーズ”の特徴である、『極幻』の精米歩合17%、『極幻FORMULA.2』の精米歩合29%。米を丹念に削りつつ、その旨みを100%発揮するには、この原料処理の作業もとても重要になりますが、それも全て井戸水で行っています。

ちなみに醸造場所の近くには、羽黒山、湯殿山、月山から成る「出羽三山」があり、井戸水の水源は月山の伏流水とも言われています。近年では水道水で酒造りする蔵も多い中、この環境は非常にラグジュアリーに感じます。

「井戸水だからいいと言うわけではありません。ただ、この地で300年にわたって使い続けてきたこの水を、これからも使い続けることに、意味があると考えています。そもそも酒蔵は、この地は豊かで美しい水があるのだから酒を造りなさいと、お上(かみ)の銘を受けたことに始まるのが基本。単に井戸水であるだけでなく、酒の醸造に適した水であるのもポイントです」

また、この恵まれた水環境をアップデートすることにも取り組んでいます。これまでは井戸水をペーパーフィルターで濾過していましたが、2023年からは活性炭を利用した濾過器で濾過するようになりました。これによって、水のテクスチャーが、よりしっとりしたような感覚に変化したといいます。完成した酒についても、口に含んだときのファーストコンタクトがよりまろやかな印象に変化したと阿部さんは話します。

おかげで2023年度の“極幻シリーズ”はもちろん、同酒蔵で造られた酒の出来栄えはかなり良好とのこと。すでにこれまで国際的なアワードを受賞してきた同シリーズですが、今後の進化についても期待が高まります。

「至高の日本酒体験」を届けるために、最高品質を保つ氷温貯蔵に

山形という土地の恵みを最大限に引き出すべく、手間ひまを惜しまない醸造方法は、掛米を自然放冷していることにも表れています。1枚ずつ板に布を敷き、そこに炊いた掛米約15kgを広げて、2時間ほど冷やすステップ。そこでは、タンクの上まで15kgの掛米を運ぶ作業があり、膨大なマンパワーが必要になります。

「効率性だけを考えると放冷機を導入した方が絶対に速いのですが、我々は手作業で冷やした方がいいと思っています。それは、放冷の時間を自分で決められるから。炊いた米は酵素の影響を受けますが、今のやり方の方がその調整をこまめにできるのです」

10kg単位で限定吸水にしても、小さな蔵は資金が少ないため機械でやらずに手作業でやる場合も多いもの。しかし“極幻シリーズ”は、例え機械を入れられたとしても、クオリティを重視するため、限定吸水はあえて手作業でするのがベストだと判断しています。

反対に、瓶詰めの作業など、人がやっても機械がやっても変わらない作業については積極的に設備投資を行う方針です。ですが、『効率化できる代わりに、若干クオリティが下がる』機械は決して使いません」

こうして細部までこだわり抜いて完成させたお酒は、出荷まで氷温で貯蔵しています。「氷温貯蔵」とは0℃より低く、凍結点より高い温度帯(日本酒ではマイナス5度前後)で冷却・貯蔵する方法です。通常0℃以上で保管する日本酒に比べ、熟成がゆっくりと進み、みずみずしいフレッシュさは保ちつつ、角のとれたまろやかな口当たりに変化していきます。これは、“極幻シリーズ”の特徴である、華やかさな香りも長期間保つことにもつながります。

山形県の自然、気候を活かすことはもちろん、造り手の技術力が合わさって実現した“極幻シリーズ”。MINAKIブランドの「ラグジュアリーな日本酒体験を届けたい」という想いのもと、一切の妥協なく造られた極上の日本酒を一度体験してみてはいかがでしょうか?

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